今回は、ちょっと昔になってしまったけれど思い入れのあるシーズン、19年春の作品たちを紹介します。
紋帖から始まるいろは
この時期は全体として良い作品を多く作れた、いわば高打率のシーズンでした。
原因はおそらく、あちこちフラフラしている間にいい資料にたまたま出会えたことだと思います。
食べ物をテーマに置いて、浅草合羽橋商店街の食品サンプル街を歩いたのも大当たりでしたし(食べ物紋の回で書きました)、たまたま行った本屋でレアな本、「紋帖」を見つけたのも大きかったです。
紋帖とは
紋帖というのは、染物屋さんなどが家紋を書く時に本当に使う家紋デザインの見本帖を本にしたもので、あまり流通していないものです。
家紋がいろは順に並んでいたり、紋をぶん回し(昔のコンパス)で書く書き方があったり、歴史を感じます。
僕の持っているのは「標準紋帖」(初版は1953年)です。
もう一つの資料「日本の家紋大全」もいいのですが、二つあると見方が変わって、新しい発想が出たりします。
あと標準紋帖のいいところは、紋だけでなく、県や市のマーク、会社のロゴなども載せていることです。
昭和の頃のままで少し野暮ったいのですが、現代的で複雑なマークよりそういったものの方が、分かりやすくて応用しやすいです。
この本のおかげで、家紋だけを見ていた視点がいい意味でほぐれたと思います。
実際に「三つ組みリュウグウ」は山形県の市章を少し参考にして作りました。
思いつきの源泉
あとは真夜中にテレビで見たカンガルーのケンカだったり、
動物番組で特集をしていたマヌルネコだったり、
そういったたまたまをうまく捕まえられました。
思いつきの源泉は結局、そういう安っぽいものからなのかもしれないです。
そしていいものができると、周りにもボコボコ連鎖反応みたいに浮かんできます。
そういった状態が「良い」のだと思います。
テーマ別紹介
メインテーマ:食べ物
詳しくは食べ物紋の回で。
裏テーマ:平成
令和が始まるタイミングだったので「ありがとう平成」の意味を込めて作りました。
第3テーマ:動物
行動展示はうまいこと作れたと思います。
もの
抵抗器は、ちゃんと4本の線でできています。
その他
バラバラです。
まとめ
19年春作品でした。タワマンも炒めチャーハンも捨てがたい、幅広いジャンルのシーズンでした。
デザイン的にも家紋の制約から離れ、全体的にのびのびとして良いと思います。
これらを発表した時に、ちゃんとした出版社の方にも面白がって頂いたことは、嬉しかったです。
しかし、その反面「惜しいね」とも言われたので、その足りない何かを追い求めて、反省もしています。
ちゃんと自分を超えるための、新作でなくてはと、このシーズンを見返すたびに思います。
自分の中の自分ライバルのような、大切なものです。