ここ数年は、仕事として年賀状イラストを作っていますが、今回はそれ以外の、プライベートで作ってきたものを紹介していきます。
仕事での年賀状イラストはこちらです。
自己評価の順に、紹介していきます。
なかなかいいね・鳥文字

『2017年・鳥文字年賀状』
鳥の年に作ったものがこれです。
絵を描く上で必要だろうと、鳥を研究したり、野鳥観察をしていたので、鳥テーマは得意だと思います。
で、せっかく鳥を描く良い機会なので、たくさんの鳥を描く手段として考えたのが、この「鳥文字」でした。
文字とイラストを掛け合わせるノウハウはあったので(こんな風に)

一文字ずつでも作れるだろうと思いました。
また、同時に「あ」なら頭文字「あ」から始まる鳥を入れるといった、「しばり」を作ったのも良い工夫だったと思います。
ただこのルールは、思いのほか苦戦しました。
「ね」から始まる鳥なんてほとんどいないし、絶対に分からないような、海外のマニアックな鳥などはなるべく避けよう、などと考えると結構厳しかったです。
全体の出来としては、ちゃんと文字として読めますし、鳥は目の優れた生き物なので、それぞれの色がカラフルで、見て楽しいものになったと思います。
ですが、一つ問題だったのは、年賀状の大きさはハガキサイズなので、1文字1文字がかなり小さかったことです。これは後々の作品で改善させました。
顔のみや全体像、飛ぶポーズといった具合に、様々な形ではめ込んでいて、グラフィックイラストとしてなかなか良いものになったと思います。
けっこういいね・ネズとげっ歯類文字

『2020年・ネズミとげっ歯類文字年賀状』
最小の文字で表現するなら、この15文字だと思いました。
はがきサイズでも、一体一体がなかなか大きく見られます。
たくさんのネズミがちょこちょこいるデザインは、イメージ通り、可愛くできたと思います。
ただ、ネズミの仲間、「げっ歯類」まで範囲を広げたのは、良くもあり、悪くもあるかなと思います。
ハダカデバネズミなど、見た目がネズミっぽくないのはやめておく、といった線引きが必要だったかもしれません。
文字イラストのポイント
人間の眼は、ものをだいぶ補正して見てくれるようです。
このイラストの3文字目の「ま」の下部分は、だ円のほうがベストですが、あえて丸の形の回し車を入れてみました。
それでもほぼ問題なく「ま」に見えるかと思います。

見る側の人の眼が修正してくれるので、作る側は多少遊び心を加えても大丈夫だと考えています。
このイラストでも、マーモットの喧嘩や、頬袋にエサをためるシマリスや、泳ぐビーバーといった具合に、ネズミの生態を描くところまで出来たのは、良いかなと思います。
もっとやっても良かった気もします。
まずまずだね・イノシシ迷路

『2019年・割とむずいぜ!イノシシ迷路年賀状』
小学校1年生の頃、僕は外でろくに遊ばず、自由帳に迷路の絵ばかり描いてました。(今思うと、大丈夫なのかその子ども、とも思えます。)
ま、それを踏まえて「迷路だったらいくらでも描けるわ」と親に言ったところ、「自分が普通に出来る事って、案外他の人はできないすごいことなんじゃないか」と言われ、そんなものかと思い、試しに作ってみたのがこのイラストです。
結果的にはまずまずの出来になったかなと思い、展示で出してみて、まずまずの評価をもらいました。
このイラストで学んだのは、人は様々な能力があるけれど、それが見る人に「面白い」「楽しい」と思わせられるかは、別だということです。
「能力=面白い」ではなく「能力+工夫=面白い」なのだから、結局もっと頭をひねってものを作るべきだと思いました。
これじゃイカンなと、なった訳です。
ま、当たり前のことに立ち帰るのも、学びだと思いたいです。
ちなみに、「答え」はこんな感じです。

ダメだったね・申年判じ絵風

『2016年・申年判じ絵風年賀状』
ひねりすぎました。
絵から類推されるアルファベットで文章になっているという、「判じ絵クイズ」だった訳ですが、分かりにくかったなと思います。
前半は英文で、後半は日本語のアルファベット表記なのも分かりにくいし、これを見ていちいち解いてくれると期待してるところが、ちょっとなあ、と思います。
最初のバージョンは「H」などの文字が入っていない、絵だけで発表しました。
奇をてらいすぎて、ムダに難解、分かりにくいものを出してしまったと思います。
考え過ぎたらアイデアを全部捨てること、そういった勇気も必要だと、今は思います。
この年きっちり反省して、分かりやすく、もっとシンプルに楽しめるものにしようと考えて、はじめの「鳥文字」につながったことだけは、唯一良かった点です。
まとめ
うまくいったものも、そうでないものも紹介してみました。
遊び心を持ったものを、いかにわかりやすく、楽しく見せられるかをポイントに考えてきたのだと思います。
また2022年の年賀イラストに向け、自分の過去作品や、他の方の年賀作品も見ながらアイデアを考えていきたいです。
年賀はがきの14.8×10cmの小さな画角の中で、これからも格闘していきます。