僕はイラスト作品の中で、小さいキャラクターで1つの絵に仕立て上げるボールペン画を描いています。
ボールペン画と浮世絵は相性が良いので、いくつか作品を作っています。
今回は絵を作るうえでの尊敬の対象「浮世絵」を、作った作品を載せながら、その歴史にスポットをあてて見ていきます。
菱川師宣【見返り美人図】
これは、17世紀後半の作品で、初期の浮世絵と言っていいものです。
「浮世絵っつったら、構図だろ!」と一発で分からせるような、ザ・浮世絵だと思います。
平面的ではあるものの、それを構図の魅力で補う。
これは独特の進化だと思います。
この頃はまだパトロンなどから資金をもらう、アーティスト色が強かった時代です。
でもだんだんと今のマンガ文化のように、絵で稼ぐシステムが出来上がり、作家人口が増え、競争が激しくなったところがまた浮世絵を進化させたと思います。
そうして江戸時代後期に出来た作品が次のものです。
葛飾北斎【富嶽三十六景 神奈川沖浪裏】
外国から「ベロ藍」という青色の絵の具を輸入したことで、後期の浮世絵は、青が抜群に美しいです。
この作品もそうです。
浮世絵はこのように、意外と西洋文化の影響も受けて育ちました。
有名な絵師も、西洋の絵の構図を(もろに)参考にしたり、鎖国のイメージからは少し違っていて、面白いです。
ただこの、「波間に富士」の構図はちょっと、なかなか思いつかないものです。
日本の、いち「商品」として売り出したものが、世界の「アート」に影響を与えたというのは、なかなか気持ちの良い話だなと思います。
今年の秋に発表する予定のボールペン画作品はまた、浮世絵を使おうと思っています。
取り上げる作品は、ナイショです。
モチーフ自体の美しさを表現しつつ、よく見たら面白い、良いものに仕上げたいと思います。頑張ります。
↓オマケは日本画ですが
俵屋宗達【風神雷神図屏風】より風神
「琳派」のスゴさも言いたいですが、文が長くなるので、やめます。